●迷える童子と問答したまう

 

ちょっと前、まだ4月の桜散る春のことです。
大阪の電気街 日本橋を歩いていて
2台目として欲しいノートパソコンをみたり、
携帯売り場で、
真知宇君「すいません、今持ち始めて2ヶ月のこの携帯、
番号そのままで、これ(新型機種)に代えるといくらかかる
でしょう?」
売り子のお姉さん「えーっと、・・・(携帯会社のボードを持ってきて)
2万3千円になります。」
真知宇君「・・そうですか、・・また来ます」
などと言って出てきたり、
パソコンソフト・コーナーで、タイピングゲーム「ゴルゴ13」
を試して遊んでみたり(一単語を打つごとに、一敵戦闘員射殺)
して、やれ疲れた、どこか店へ入って何か食べようかなあ。
・・などと日本橋の道路の柵の所に腰掛けていた所

「うええええーん、お母さーん、うああー(泣)」
などと保育園児くらいの女の子が泣きながら日本橋通りを
人の波と一緒に南から歩いてきた。
セミロング位の髪の毛に白の上着水色のスカートを着てる。

なんだ迷子か。そのまんま真知宇が柵に座ってる前を
通り過ぎて行けばいいのに、何故か彼女は真知宇の前で
立ち止まった。
真知宇の前で立ち止まって10秒間ほど顔はまだ進行方向の
北側を向いたままで泣き止み、やがて真知宇の方を向いた。
真知宇と目が合う。
目が合っても、真知宇は『ふんふん(ふむふむ)』といった感じで
相手にしてなかったのだが、やがて女の子の方から話し掛けてきた。

女の子:「お母さんはー?」
(おれが、知るかっ)
真知宇、この最初の第一声は黙殺(無視)した。
けど、女の子は真知宇の顔を見ながら
女の子:「お母さん、どこー?」
真知宇君:「うーん、僕も分かんない」
女の子:「・・・・・」
真知宇君:「お母さん探すの?」
女の子うなずく
真知宇君:「お母さんは、今日 何色の服を着てたん?」
女の子:「・・・えーっとね、んーっとね、・・・忘れた」
真知宇君:(ずどどどっと来ながら)「それじゃ、ちょっと
難しいな」
女の子:「・・・うーん」

しばしの沈黙(というかボーッとしたのどかな時間)ののち
真知宇(指差しながら)「お母さんと はぐれてしまった
この状態のことを何という?」
女の子「うー、・・???」
真知宇「迷子って言うの」
女の子「まいご??まいごって???・・・ひゃ♪」
などと、さっきまで泣いていたのに、すっかり上機嫌である。

真知宇も柵に腰掛けて、『はて、この辺りに交番はあったかなあ?
・・・難波の交番しか思い出せん。まてよ、日本橋の南の電気街が
終わる辺りに確か警察署があったよなあ・・・。けど、あそこまで
こいつ連れてくのダルイなあ。それより親が警察署まで探しにくるか
・・・。この場所にとどまって方が探しに来るかも知れん・・。
・・・やっぱ警察に連れて行こうか・・・、未成年者略取誘拐の現行犯の
疑いはかけられんかなあ・・・』
・・などとぼーっとしながらアホな事を考えていた。

その間、女の子は指を立てて数えながら「ひい、ふう、み・・」
みたいな独り言を言い、やがて真知宇に向かって指を3本立てながら
女の子:「なみ(←漢字知らん)、3才なんやで」
などと言う。
真知宇は「あ、そうなん」と軽く受け流す。
・・・ここまでは良かった。だが次の一言はひどかった。

女の子:「おにーちゃんも、3才?」

ずどどどっ、真知宇はこの一言に思わず笑ってしまった。
額に手を当てて苦笑する真知宇に、女の子はなおも指三本たてながら
「3ちゃい(才)?」と聞いてくる。
『そーだよ』と答えようかとも思ったけれども、正直に
「いや、僕は24才」と答えた。
女の子:「・・にじゅうよん?」
指を見ながら、少し悩んでいる様子で、またしばらくして
指三本立てて「3才?」などと聞いてくる。
どうやら、24という数の概念が分からないらしい♪
『おにーちゃんも、3才?』と聞かれた時は『なんと恐るべき
3才児』と思ったが、所詮ガキだなあ。数はどこまで出来るのだろう?
真知宇「3才の次は いくつになる?」
女の子「えーっと、・・・指折りながら(かなり時間係りながら)
・・・4っつ!」
真知宇(イジワルで)「その次は?」
女の子「うー、・・・わかんない」
真知宇「4の次は 5」
女の子「5?」
真知宇「そのあとは、6、7、8、9、10と続く」
女の子は指を折りながら「うーん??」
6以上の数を数えるには、もう一方の手の指も使うか、
又は、数えていた指を1本づつもう一度戻すという方法を
使うんだなあ♪

この子供に6〜10までの数を憶えさせていると、
通りの北側の方から「なみー」と女の人の声がした。
女の子は「お母さん!」と言ってそっちへ走り出し
途中で真知宇に向かってバイバイをしながら去って行った。
真知宇もバイバイして見送る。女の人(美人だけど きつそう)
「行くよ!」と子供を叱りつけて連れて行った。

やれやれ・・、子供の相手してなんか疲れた。
この前は自転車で走っていた時 並走していた幼稚園バスの
窓から幼稚園児らに声援おくられたし、半年前には阪神百貨店の
売り場で泣いていた男児に手を握られたし(しかも握った瞬間泣き止む)、
電車の中では乳母車orおんぶされた子供が真知宇と目を合わせて
しばらくして「ふふふっ」とか笑うし。
・・・・どうにかしてくれ。
今回の女児の『おにーちゃんも3才?』問題発言は
自分と同類と思ってるんだろうか。
・・ふにゃあ。

 

 

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