●裁判を傍聴に行きたまう・・・


ヒマにゃー

しかし、刑事訴訟法の教授いわく
「刑事裁判を傍聴してレポートを提出しろ」と

・・・というわけで、大阪地裁&高裁(←同じ建物内)へ
裁判傍聴に行って来ました。
淀屋橋からだと北へ、梅田からだと南へ、
どちらからも歩いてすぐの所
堂島川北岸、大阪官庁街を南に臨む
緑深きところに裁判所はある。いい所だ♪

受付のカウンターの冊子で、今日の裁判の日程表を見る。
裁判はだいたい午前と午後の2部に分かれていて、
午前の部は10時前後から開始、午後の部は2時前後から開始
されるものが多い。
裁判の罪名は窃盗罪(刑法235条)が非常に多い。
判決のが見たかったので (証人尋問などではなくて)
窃盗事件のを 見に行く。
強盗事件のもあったのだが、よく見ると「通訳:北京語」とあり、
言葉がよく分からないのでやめておいた。(外国人犯罪)

開廷まで、時間があるので、裁判所内を歩いて回る。
この建物は高層(5階だったかより上)が大阪高等裁判所、
それより下が大阪地方裁判所になっている。
階段もあるが複数あるエレベーターで昇降するのが便利だ。
簡易裁判所、家庭裁判所は隣の別棟。
1階には、弁護士待合室(依頼人との待ち合わせらしい)
弁護士控え室、地下に食堂(なかなか美味そうだ)と
売店・小さいが法律書もある書店もあり、
2階に 令状部(警察が 逮捕・捜査令状の請求に来る所?)や
執行官室がある。

黒い法服を着た裁判官が、忙しそうに部屋から出て廊下を歩いてきた。
部屋の中を覗くと、みんな忙しそうに机に向かって
何か書いたり、パソコンに向かったりしている。
電話の声も聞こえてくる。

開廷時間が迫って来たので、裁判官部屋側の廊下から
受付でメモした番号の法廷に入ろうとすると、
廷吏(法廷の警備員)が僕に気付き、
手を広げて「入っちゃいかん!」と言う。
僕が「裁判を傍聴したいんですけど」と言うと、
「なら向こうから回れ。こっちは刑事被告人の入廷路だ」
と言われた。
何とっ!

ついに行く  道とはかねて  聞きしかど
            昨日今日とは   思わざりしを

(平安時代の歌人 在原業平 辞世の句)

刑事被告人の道に入ってしまった
僕は、一般傍聴人のルートではなく、かなり判事らの職場よりの方を
うろついていたらしい。
道理で黒服の裁判官に出会いまくるはずだ。


地裁で 空き巣(つまり窃盗罪)の
判決言い渡しのを 見に行ったのだが、
ものの5分で終わってしまった。
「主文・・・・、被告人を窃盗罪で懲役1年に処す・・・云々。
被告人は前の窃盗事件で執行猶予中にも関わらず、
性懲りもなくその期間中に窃盗を行い・・・。
弁護側はその理由に不況の影響・失業を挙げているが、
それは・・認められず、被告人の法規範意識の低さから
・・・懲役・・実刑が相当と・・します。
これで終わります。」

・・・そのあと、被告人(風采あがらない風貌の老人)に対し、判事は
「1年間 刑務所に入ることになりますが、しっかりと
法規範意識・・・ルールですね、それを守るように」
「立派に社会に戻ってくるよう」
「二度とここ来ることが無いよう」などと、教え諭して閉廷した。
まだ若い地裁の裁判官だったが
実に優しそうな裁判官だった。


3分もしないうちに終わったので、面白くなく、
エレベーターで1Fに下り、受付の裁判予定表を再び探す。
窃盗程度で、大したものがない。

数日通い
高裁のほうの傷害致死罪事件。
大阪市内での拳銃での殺人事件なんかも傍聴する。


実際にレポート作成にしたのは、
無銭飲食の詐欺罪(刑法246条)。

とある飲み屋にタクシーで乗り付け
タクシー代金は後で払うからと飲み屋店員にタクシー運転手へ
運賃を支払わせて店内に入ってしまい、
その後被告人は飲み屋で水割り・ビール等
数万円分を飲み、酔っ払って寝てしまった無銭飲食事件。

ただ無銭飲食も、本当に財布の中にお金が無かった事を
知らなかったのならば、詐欺罪の故意は無い訳で、刑事罰には問えません。
(もちろん、民事上の飲食料債務は負いますので飲食代は払わないと
いけませんが)
弁護側と検察側が争っているのは、まさにその故意の点。

弁護側は「被告人は、お金が無い事に気付かずに飲み屋に入り
その後は酔いが回ってしまって、どれだけ飲んだか分からなくなった」
という方向へ持って行きたい主張。

検察側は「タクシー代金を払ってもらった時点で被告人は
財布の中身を確認しており、飲み屋に入って注文する事前の段階で
お金が無いことは分かっていた」
という主張。

レポート提出期限までに判決は出なかったので
結果は分からず途中経過のみでしたが、窃盗罪が多い中では
興味深い内容だったと思います。





最近は、裁判を傍聴する方も増えてきたようです。
ニュース等で社会的に有名な事件はもちろん
(傍聴席数を超えそうな場合、傍聴が抽選になります)
殺人や強姦等の事件だと傍聴人は結構いるらしい。

なにわともあれ、司法に興味を持つことはいいことで
ヒマつぶしに裁判傍聴するのもいいかも知れません。

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